親の被爆体験と向き合い、迷いながらも自らの歩む道を探す被爆2世たちのありのままの素顔とメッセージを収めた写真集
「被爆2世として堂々と生きることが、不安や偏見に負けずに私たちを産んでくれた被爆者である親への恩返し。次世代へは怒りや不安ではなく、希望を伝えたい」
被爆者にとって8月6日、8月9日は始まりに過ぎない。
これまでの人生すべてが「ピカ」と繋がっているが、語り部となって自らの体験を多くの人に語れる被爆者はほんの一握りに過ぎない。被爆2世にとっても親が「語らなかった」「語れなかった」被爆への言葉にならない思いをその背中に感じながら育ったことが原体験といえる。
歴史は伝える意思を持たなければ消えてしまう。残念なことに親から直接、被爆体験を聞いた2世は半数に満たないのも事実で、中には親の死後に初めて被爆していたという事実が判明したケースもあった。親には「自分が被爆したせいで子どもたちに何かあったら」といった不安があり、2世には「親に過去の辛い体験を思い起こさせるのでは」といったそれぞれの思いがあり、近しい家族ゆえの難しさも感じた。
しかし、被爆者自らが被爆体験を語れる時間は残りわずか。この写真集をきっかけに、まずは家族の中で被爆の実相を伝え、それを自らの思いも込めた言葉で次の世代へ繋いでいくことこそ、被爆2世に課せられた大切な役割だと深く感じている。
吉田敬三
1961年 長崎県生まれ
1979年 陸自少年工科学校卒業
1985年 法政大学卒業
1994年 日本写真芸術専門学校卒業、写真家の樋口健二氏に師事
2007年 日本社会事業大学社会福祉士養成課程卒業
2017年から沖縄県石垣市に在住
[写真展]
1996年 「FRIENDS 〜大都会の片隅」(オリンパスギャラリー)
都内で暮らす路上生活者との交流から生まれた写真展
1998年 「LANDMINES 〜悪魔の兵器」(ニコンサロン)
カンボジアで地雷の被害に遭いながらも逞しく暮らす人々の写真展
2003年 「星空の学舎〜自主夜間中学の生徒たち」(オリンパスギャラリー)
江東、松戸、川口で市民の自主運営による夜間中学で学ぶ人々の写真展
2012年 「被爆2世 108人の肖像」(ペンタックスフォーラム)
親の被爆体験と向き合い迷いながらも自らが歩む道を探す被爆2世の写真展
2017年 「 What a Wonderful World〜人工呼吸器を付けて街に出よう」(アイデムフォトギャラリーシリウス)
人工呼吸器を利用しながら住み慣れた地域で自立生活を送る人たちの写真展
発行/南山舎(2024年4月17日)
判型/B5判 236頁
定価/2,750円(本体2,500円+税)
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