人頭税の全体像を描くための基礎的な文献
人頭税というキーワードを核として近世・近代の八重山庶民の歴史を描画。
※こちらの書籍は経年による劣化が若干見られます。お読みいただくには全く問題はございませんが表紙の若干の劣化をご了承いただける方のみご購入をお願い申し上げます。
発刊にあたって 崎山 直
第一章 百年後の今、人頭税を考える
人頭税とその時代
・人頭税とその時代 崎山 直
・人頭税近世起源説・両先島限定説は誤説 黒島 為一
・人頭税と与那国の人々 米城 惠
人頭税の諸相
・人頭税廃止で歓喜の渦 崎山 直
・古文書にみる人頭税時代 得能 壽美
・野底村跡の保存を 三木 健
・人頭税(御用布上納)と女性 石垣 久雄
・種子取祭と人頭税 上勢頭芳徳
・伝説と古文書を追って 崎山 直
・鳩間島の古謡と人頭税制度 吉川 安一
・八重山伝統歌謡にみる人頭税悲話 當山 善堂
・「賄女」に関する一考察 當山 善堂
目でみる人頭税時代
・八重山人頭税廃止百年記念展より
・モノは語りたがっている百年前のことを 上勢頭芳徳
・ 『蔵元絵師画稿集』にみる人頭税時代 得能 壽美
・蔵元の機構/間切と村/データでみる人頭税時代
・パィパティローマ伝説の村 通事 孝作
・与那国島の伝説 米城 惠
・星見石と人頭税石 黒島 為一
第二章 人頭税廃止百年記念事業
・経過報告
・趣意書/事業計画/期成会役員
・記念芸能公演
・記念展
・人頭税シンポジウム
・記念碑建立
・記念式典・祝賀会
・その他
執筆者一覧
資料編
・寄付者ご芳名
・近世八重山人頭税関係年表 得能 壽美
我々が過去を振り返るのは単に懐旧の想いに浸るためではない。よりよい未来を創出するためである。八重山で昨年から一年をかけて人頭税廃止百年記念事業が行われ、そして本書が編まれた理由もまさにここにある。八重山人頭税廃止百年記念事業期成会長・崎山直氏は本書巻頭に、人頭税廃止百年を迎えて「人頭税とその時代の研究解明」、この百年の間に「どのような歴史過程があったのか」、そして「我々はそれらにどのように向き合ってきたのか」という三つの問いを発している。これらは、我々が人頭税以降の八重山の歴史をどのように受け継いできたか、という根元的な問いにつながる。
本書は人頭税というキーワードを核として近世・近代の八重山庶民の歴史を描出しようとした一書である。人頭税を琉球歴史の中において、その税制の拠ってくるところと特性を明らかにしようとした黒島為一「人頭税近世起源説・両先島限定説は誤説」、人頭税下の八重山社会の諸相を多数の古文書によって具体的に開示した得能壽美「古文書にみる人頭税時代」、人頭税を実際に経験した二人の老媼からの聞き書きをまとめた石垣久雄「人頭税(御用布上納)と女性」、役人の現地妻となった「賄女」の実態に迫る當山善堂「『賄女』に関する一考察」など、啓発されることの多い論考が収録されている。また、「目でみる人頭税」で上勢頭芳徳氏が紹介している竹富島蒐集館の人頭税関係資料は、先代館長上勢頭亨氏がその人生をかけて集めてこられたものだが、これらは芳徳氏が書くように「人頭税を語るためによくぞ生き残っていてくれた」品々である。芳徳氏の滋味ある紹介の文によって、これらの品物・道具が人頭税の歴史を雄弁に語るものであることをあらためて知った。
苦衷の歴史のあるべき未来へとつなげるために歴史の負の遺産とどう向き合うか。宮古で興った人頭税廃止運動と連動することもなしえなかった八重山の社会と民衆像の解明もまた一つの課題として私の中にはある。ともあれ、人頭税の全体像を描くための基礎的な文献となった本書の出現を喜び、真摯に人頭税の歴史に向き合った諸氏に敬意を表したい。
人頭税というキーワードを核として近世・近代の八重山庶民の歴史を描画。
※こちらの書籍は経年による劣化が若干見られます。お読みいただくには全く問題はございませんが表紙の若干の劣化をご了承いただける方のみご購入をお願い申し上げます。
コンテンツ
発刊にあたって 崎山 直
第一章 百年後の今、人頭税を考える
人頭税とその時代
・人頭税とその時代 崎山 直
・人頭税近世起源説・両先島限定説は誤説 黒島 為一
・人頭税と与那国の人々 米城 惠
人頭税の諸相
・人頭税廃止で歓喜の渦 崎山 直
・古文書にみる人頭税時代 得能 壽美
・野底村跡の保存を 三木 健
・人頭税(御用布上納)と女性 石垣 久雄
・種子取祭と人頭税 上勢頭芳徳
・伝説と古文書を追って 崎山 直
・鳩間島の古謡と人頭税制度 吉川 安一
・八重山伝統歌謡にみる人頭税悲話 當山 善堂
・「賄女」に関する一考察 當山 善堂
目でみる人頭税時代
・八重山人頭税廃止百年記念展より
・モノは語りたがっている百年前のことを 上勢頭芳徳
・ 『蔵元絵師画稿集』にみる人頭税時代 得能 壽美
・蔵元の機構/間切と村/データでみる人頭税時代
・パィパティローマ伝説の村 通事 孝作
・与那国島の伝説 米城 惠
・星見石と人頭税石 黒島 為一
第二章 人頭税廃止百年記念事業
・経過報告
・趣意書/事業計画/期成会役員
・記念芸能公演
・記念展
・人頭税シンポジウム
・記念碑建立
・記念式典・祝賀会
・その他
執筆者一覧
資料編
・寄付者ご芳名
・近世八重山人頭税関係年表 得能 壽美
書評 沖縄タイムス ~庶民の歴史を描出する文献~
我々が過去を振り返るのは単に懐旧の想いに浸るためではない。よりよい未来を創出するためである。八重山で昨年から一年をかけて人頭税廃止百年記念事業が行われ、そして本書が編まれた理由もまさにここにある。八重山人頭税廃止百年記念事業期成会長・崎山直氏は本書巻頭に、人頭税廃止百年を迎えて「人頭税とその時代の研究解明」、この百年の間に「どのような歴史過程があったのか」、そして「我々はそれらにどのように向き合ってきたのか」という三つの問いを発している。これらは、我々が人頭税以降の八重山の歴史をどのように受け継いできたか、という根元的な問いにつながる。
本書は人頭税というキーワードを核として近世・近代の八重山庶民の歴史を描出しようとした一書である。人頭税を琉球歴史の中において、その税制の拠ってくるところと特性を明らかにしようとした黒島為一「人頭税近世起源説・両先島限定説は誤説」、人頭税下の八重山社会の諸相を多数の古文書によって具体的に開示した得能壽美「古文書にみる人頭税時代」、人頭税を実際に経験した二人の老媼からの聞き書きをまとめた石垣久雄「人頭税(御用布上納)と女性」、役人の現地妻となった「賄女」の実態に迫る當山善堂「『賄女』に関する一考察」など、啓発されることの多い論考が収録されている。また、「目でみる人頭税」で上勢頭芳徳氏が紹介している竹富島蒐集館の人頭税関係資料は、先代館長上勢頭亨氏がその人生をかけて集めてこられたものだが、これらは芳徳氏が書くように「人頭税を語るためによくぞ生き残っていてくれた」品々である。芳徳氏の滋味ある紹介の文によって、これらの品物・道具が人頭税の歴史を雄弁に語るものであることをあらためて知った。
苦衷の歴史のあるべき未来へとつなげるために歴史の負の遺産とどう向き合うか。宮古で興った人頭税廃止運動と連動することもなしえなかった八重山の社会と民衆像の解明もまた一つの課題として私の中にはある。ともあれ、人頭税の全体像を描くための基礎的な文献となった本書の出現を喜び、真摯に人頭税の歴史に向き合った諸氏に敬意を表したい。
2003年11月22日付『沖縄タイムス』
波照間永吉(沖縄県立芸術大学附属研究所教授)
波照間永吉(沖縄県立芸術大学附属研究所教授)
本について
八重山人頭税廃止百年記念事業期成会著
仕様:A5判 308ページ
発行:南山舎
送料について
全国一律送料は1冊の場合198円になります。複数の場合は計量し一番お安い送料にてお届けさせていただきます。手数料について
コンビニ払の場合は385円が加算されます。予めご了承ください。